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労働問題

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Q.当社の従業員が、過失により会社に損害を与えましたが、
会社は、当該従業員に対する損害賠償請求権と賃金とを相殺することができますか。
A.法的な対応策

1.賃金全額払いの原則
賃金は、原則として全額を支払うことを要し、使用者がその一部を控除して支払うことは許されません(賃金全額払いの原則、労働基準法24条1項本文)。
従業員にとって生活の基盤である賃金の全額が確実に労働者の手に渡るように配慮して、このような規定が定められました。 それ以外にも、労働基準法では、同様の目的で、
①賠償予定の禁止(労働基準法第16条)
②前借金相殺の禁止(同法第17条)
③強制貯金の禁止(同法第18条)が定められています。

2.会社から一方的に相殺できるか
会社が従業員に対する損害賠償請求権と賃金を相殺することは許されるのでしょうか。
過去の判例では、会社が従業員の債務不履行(業務の懈怠)を理由とする損害賠償請求権と賃金とを相殺した事件(最高裁昭和31年11月2日判決=関西精機事件=)や会社が従業員の不法行為(背任)を理由とする損害賠償請求権と賃金とを相殺した事件(最高裁昭和36年5月31日判決=日本勧業経済会事件=)がございましたが、最高裁は、いずれのケースでも会社側からの相殺は禁止されると判断しました。
最高裁は、生活の基盤である賃金の全額が確実に労働者の手に渡らせるため、賃金全額払いの原則には、相殺禁止の趣旨を含んでいるとしたのです。

3.従業員の同意に基づき相殺できるか
これに対して、会社が従業員から同意を得て、損害賠償請求権と賃金を相殺することは許されるのでしょうか。この点について、最高裁は、その同意が従業員の自由な意思に基づいてなされたものであると認めるに足りる合理的理由が客観的に存在する場合には、その同意に基づいた相殺は、賃金全額払いの原則に違反せず有効であると判断しています(最高裁平成2年11月26日判決=日新製鋼事件=)。
Q.当社の従業員が突然行方不明になり、連絡が取れません。
この従業員を自己都合退職扱いすることができますか。
A.法的な対応策

1.自己都合退職として処理することは可能か?
原則として、自己都合退職として処理することはできません。 従業員が行方不明になり連絡が取れなくなったとしても、それが、単に仕事が嫌で 無断欠勤しているだけなのか、会社を辞める意思でどこかへ行ってしまったのか、突然の事故や何らかの事件に巻き込まれて連絡が取れない状態であるのか、分かりません。
雇用契約は、従業員の生活に直結する重要な契約ですから、この契約を終了させる退職の意思表示についても、その存否は厳格に解釈されます。たとえ、その従業員が、会社を辞めたいと日常的に口にしていたとしても、それだけで「行方不明=退職の意思表示」と決めつけることは危険です。 万一、会社が自己都合退職で処理して、その他解雇等の適切な措置を講じてない場合、後日、従業員から、「退職していないので、これまでの給料を支払って欲しい。」等の請求を受けるリスクもあります。

2.無断欠勤を理由として懲戒解雇することは可能か?
日頃の従業員本人の言動や職場の同僚や家族等の話から、本人にもはや勤務を続ける意思がなく、そのため会社に来ないことが明らかであるような場合、「無断欠勤」として懲戒解雇することも可能であると思われます。
しかしながら、一見「無断欠勤」と思われても、実は病気や怪我や何らかの事故・事件に巻き込まれた等の事情から、会社と連絡が取れなくなっている可能性もあります。
このような場合、後日、従業員から懲戒解雇の有効性が争われて、「これまでの給料を支払って欲しい。」等の請求を受けるリスクがあります。
実際に、過去の判例(国・気象衛星センター懲戒免職事件、大阪地裁平成21年5月25日判決)にも、会社に連絡することなく46日間の無断欠勤をした従業員に対する懲戒免職処分につき、懲戒免職処分当時、すでに統合失調症を発症していたとして、懲戒免職処分が取り消された事例があります。
従業員の欠勤が病気等である可能性がある場合やそもそも事情が不明である場合、就業規則に基づき事故休職扱いとして、所定の期間を経過しても本人と連絡が取れない場合に就業規則に基づき退職もしくは解雇するのが最も無難ではないでしょうか。

3.まずは弁護士にご相談を!!
いずれにせよ、懲戒解雇か、退職扱いとするか、それ以外の方法を講じるかの選択には高度な法的知識が必要となります。軽々に判断した結果、思わぬ労務トラブルに発展するリスクもあります。
従業員の無断欠勤等でお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
Q.当社の社員が始末書を提出しません。
始末書を提出しないことを理由として、さらに懲戒処分を科すことができますか?
A.始末書の意義
職場内において従業員がトラブルを起こした場合、その従業員に対して始末書の提出を求めることがあります。 始末書の提出には、下記の3通りが考えられます。

① 業務命令として始末書(顛末書)の提出を求める場合
② 懲戒処分として始末書の提出を求める場合
③ 弁明の機会として始末書(弁明書)


従業員が会社の指示どおりこれらの始末書を提出すれば問題はありませんが、
かたくなにその提出を拒んだ場合、何か法的措置を講ずることができるのでしょうか。

① 業務命令としての始末書(顛末書)
業務命令としての始末書は、職場における問題発生の原因等を究明し、職場の秩序回復や問題の再発防止を目的とするものであり、当該従業員が知り得た事実関係を客観的に会社に報告することを求めるものであり、いわゆる「顛末書」と呼ばれる性質の文書です。
このような意味の始末書(顛末書)は、その性質上、業務命令として提出を求めることができるのは当然であり、正当な理由もなく従業員がその提出を拒んだ場合、それを理由とした懲戒処分が可能であると解されます。

② 懲戒処分としての始末書
懲戒処分としての始末書は、従業員が起こしたトラブルについて、その従業員の反省の情や謝罪の意思を記載内容として含む文書です。
文書の性質上、従業員個人の内面に深く及ぶものですから、会社がこれを業務命令として提出することを強制することはできません。たとえ、就業規則において懲戒処分の一環として譴責処分等と並んで始末書の提出が規定されていても、強制することはできません。
したがいまして、従業員が懲戒処分としての始末書の提出を拒否したとしても、そのことを理由としてさらに懲戒処分を科すことはできません。
ただし、トラブルを起こした従業員が後日同様のトラブルを起こした場合、前回の懲戒処分の際に始末書を提出しなかった点を反省の情が見られないと評価して、次の懲戒処分の量刑に反映させるという程度であれば可能であると解されます。

③弁明の機会としての始末書
従業員に対して懲戒処分を科する場合、従業員本人に弁明の機会を与えて、本人の言い分を十分に聴取する必要があります。本人の言い分を十分聞かずに行った懲戒処分は違法と判断される危険性があります。 本人の言い分を聴取する際、本人から釈明書が提出されることがあります。
このような弁明の機会としての始末書(釈明書)は、本人の言い分を十分に聴取することを目的としていますので、たとえ事実と異なる内容が記載されていたとしても、会社としては書き直しを強制したり、不受理扱いをしたりせず、本人の言い分を十分に聴取した証拠として、そのまま受け取るべきです。
また、本人が提出を拒否する場合、提出を強制せず、本人に弁明の機会を与えたけれども、本人が釈明を拒否した事実を記録しておくにとどめるべきです。
このような始末書の性質から、文書内容が事実と異なることや始末書を提出しないこと等を理由とした懲戒処分も行うべきではありません。
Q.当社は、従業員に通勤ルートを申告させたうえで通勤手当を支給しています。
ところが、ある従業員が、電車通勤と申告して通勤手当を受け取りながら、実際には自転車通勤をしていることが判明しました。この従業員に対し、不正受給した通勤手当を返すように請求できますか。 また、この従業員に対し、懲戒処分を課すことができますか。
A.法的な対応策
① 通勤手当の返還請求
従業員は、労働契約や賃金規程等に定められた支給条件に基づく範囲内において、通勤手当の支給を受ける権利を有します。
一般的に、通勤手当の支給に関しては、規則等に「会社が認める最短経路」、「通勤経路のうち、最も安い経路」といった支給条件を付けたうえ、「通勤経路に変更があった場合」、「主たる居住地に変更があった場合」には、直ちに会社宛に変更届を提出することが就業規則に規定されています。
他方、従業員にはこの範囲を超えて通勤手当の支給を受ける権利までなく、会社は、従業員に対し、通勤手当の過払い分の返還を求めることができます。

② 懲戒処分の有無・程度
従業員が、使用者から支給条件等を超える通勤手当額の支給を受けることは、原則として、就業規則に基づく懲戒処分の対象となります。
但し、不正受給の態様(故意か過失か、不正期間等)、不正受給の金額、過払通勤手当の返済額、反省の態度等によって、どの程度の懲戒処分まで許されるのかが変わります。
例えば、過去の裁判例は、約4年間にわたり、故意に虚偽の住所を会社に届け出て通勤手当の支給を受け、約231万円を不正受給していたというケースで、懲戒解雇という重大な処分でも有効としています(後掲東京地裁平成11年11月30日判決、労判777号36頁)。
他方、従業員が、住居変更届や通勤手当支給変更申請等の諸届の提出を数ヶ月失念していたという程度では、一般的に懲戒解雇までは許されません。このようなケースでは、過払金額を全額返済させて、口頭注意または書面による注意程度にとどめるべきでしょう。
通勤手当の不正受給が認められたとしても、必ずしも懲戒解雇等の処分が有効になるわけではありません。
懲戒解雇等の処分が無効となるリスクを回避するためには、会社側として黙認していた事実はないか、他の社員は同様の不正をしていないか、当該不正行為をした社員の弁解はどのようなものかなど慎重に確認しなければなりません。
ある程度、専門的な法律知識が必要となりますので、まずは弁護士にご相談ください。
Q.即戦力と期待して中途採用しましたが、期待外れでした。解雇することができますか。
A. 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効となりますが(解雇権濫用の法理、労働契約法16条)、即戦力と期待されて入社した中途採用社員が期待に応えなかった場合、解雇権は、通常の場合よりも広く認められる傾向にあります。  

解雇を有効とした過去の裁判例では、①雇用時に予定された能力をまったく有しないこと②改善する可能性がないこと等が要求されています。
Q.どのような行為がパワハラに当たりますか?
また、パワハラによって会社はどのような責任を負いますか?
A.「パワハラ」とは「パワーハラスメント」の略称です。
平成24年1月30日付けの厚生労働省の報告(職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告)の中で、『パワハラ』を『同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為』と定義づけました。

具体的には、
① 身体的な攻撃(暴行・傷害)
② 精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
③ 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
④ 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)、
⑤ 過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)、
⑥ 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)などが「パワハラ」に当たります。

従業員が部下にパワハラしたことにより会社は民法715条の使用者責任を負担する可能性があります。加害者が従業員である場合、加害者の行った違法な行為につき、それがたとえ事業の執行そのものではなくとも、事業の執行に密接に関連するものであれば、使用者である会社は、被害者に対し、使用者責任として損害賠償責任を負担します。
さらに、最近では、「良好な職場環境を調整する義務」や「労働者が安全に勤務できるように配慮する安全配慮義務」が使用者である会社にあることを根拠として、その違反がある場合、会社が被害者に対して、債務不履行責任として損害賠償責任を負担するという考え方も登場してきています。
従業員のパワハラ行為については、早急な対応が必要となります。
Q.「名ばかり管理職」「日本マクドナルド事件」について教えて下さい。
A.労働基準法41条の「管理監督者」に該当すれば、労働基準法で強制される割増賃金の支払が不要となります。
「名ばかり管理職」とは、実態としては「管理監督者」でないにもかかわらず、「管理監督者」と扱われている管理者のことです。「名ばかり管理職」は、本来支給されるべき割増賃金が「管理監督者」とされているため、これが支給されないのです。
以下の条件を満たせば「管理監督者」に該当すると言われています。
① 労務管理について経営者と一体的な立場にある重要な権限と職務を有すること
② 労働時間について裁量権を有していること
③ その地位にふさわしい賃金上の処遇を与えられていること
日本マクドナルド事件(東京地裁平成20年1月28日判決)は、日本マクドナルドが、店舗店長について「管理監督者」に該当するとして、時間外割増賃金等を支給していなかったところ、店長である原告が、「管理監督者」には該当しないとして時間外割増賃金等を請求した事件です。①店長の職務、権限が店舗内の事項に限られていること、②形式的には労働時間に裁量があるが、勤務実態からすると裁量がなかったこと、③店長の年収が下位の職位の平均年収より低額であったことなどを理由に、当該店長は「管理監督者」に該当しないと判断しました。なお、最終的には、日本マクドナルドが1000万円を支払う旨の和解が成立しています。
Q.タイムカードがない場合でも、残業時間が認定されることがありますか?
A.はい、あります。
厚生労働省の通達「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」(平成13年4月6日・基発第339号)では、「使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・ 終業時刻を確認し、これを記録すること」と義務づけられて、始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、「①使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること、②タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること」を要求しています。
スタジオツインク事件(東京地裁平成23年10月25日判決、労判1041号62頁)は、このような使用者の労働時間管理義務を前提として、「時間外手当等請求訴訟においては、本来、労働時間を管理すべき使用者側が適切に積極否認ないし間接反証を行うことが期待されているという側面もあるのであって、合理的な理由がないにもかかわらず、使用者が、本来、容易に提出できるはずの労働時間管理に関する資料を提出しない場合には、公平の観点に照らし、合理的な推計方法により労働時間を算定することが許される場合もある」と判示して、労働者の推計方法を大幅に採用しました。
これ以外にも、過去の裁判例では、パソコンのログ記録、磁気カードによるプリペイドカード式の乗車カードの通勤記録、最寄り駅の駐車場の入庫記録、「帰るコール」の着信履歴やメールの送受信記録、さらには従業員が記録したメモなどが残業時間の証拠として認められています。